最終更新日: 2026年08月15日 自宅に安置する?葬儀社の安置室?|どちらを選べばいいのか
ご家族が亡くなられたとき、搬送先を決める段階で、
「自宅に連れて帰ったほうがいいのだろうか?」
「葬儀社の安置室に預けたほうがいいのだろうか?」
と迷われる方は少なくありません。
かつては「亡くなったら自宅へ連れて帰り、家族で見守る」という自宅安置が一般的でした。
しかし現在は、住宅事情や家族構成、生活スタイルの変化などから、葬儀社などが用意する安置室を利用するケースも珍しくありません。
そのため、現在では「自宅に安置するのが普通」「安置室に預けるのが普通」と一方だけを正解と考える必要はありません。
大切なのは、故人をどこで過ごさせたいかという希望と、ご家族が無理なく安置できる環境があるかどうかです。
この記事では、自宅安置と葬儀社の安置室、それぞれの特徴やメリット・注意点を比較しながら、どのような場合にどちらが適しているのかを解説します。
自宅安置と葬儀社の安置室、それぞれの特徴
まず、自宅安置と葬儀社の安置室には、それぞれ異なる特徴があります。
単純に「自宅のほうが良い」「安置室のほうが安心」というものではありません。
ご家族の希望だけでなく、住宅環境や付き添いの可否、安置する期間なども含めて考える必要があります。
自宅安置のメリット
自宅安置の最大のメリットは、故人を住み慣れた自宅へ連れて帰り、ご家族と一緒に過ごせることです。
「最期は自宅に帰してあげたい」
「家族が過ごしてきた家でゆっくり休ませてあげたい」
という希望がある場合には、自宅安置が選択肢になります。
特に、故人が長く暮らしていた家であれば、ご家族にとっても普段と同じ環境の中で故人と向き合うことができます。
葬儀までの時間に、家族が顔を見たり、話しかけたりしながら過ごすことができるのも、自宅安置ならではの特徴です。
また、葬儀社の施設では面会時間が決められている場合がありますが、自宅であれば基本的にご家族の都合に合わせて故人のそばにいることができます。
「できるだけ長く一緒にいたい」というご家族にとっては、大きな意味があります。
自宅安置には、住宅環境の確認も必要
一方で、自宅安置を希望する場合には、感情面だけでなく、実際に故人を搬送して安置できる住宅環境があるかを確認する必要があります。
特にマンションやアパートの場合は注意が必要です。
寝台車から建物内へ搬送する際、
エレベーターの大きさ
廊下の幅
エレベーターから部屋までの経路
階段や踊り場の広さ
玄関の間口
安置する部屋の広さ
などを確認しなければなりません。
故人を寝かせるスペースが確保できても、そこまで搬送できなければ自宅安置は難しくなります。
また、安置する部屋には、布団などを置くための十分なスペースも必要です。
必ずしも大きな部屋が必要というわけではありませんが、家具などを移動して安置する場所を確保しなければならない場合もあります。
そのため、自宅安置を希望する場合は、搬送を依頼する葬儀社に、住宅の状況を事前に伝えて相談しておくことが大切です。
自宅安置では室温管理も重要
自宅で安置する場合には、室温などの環境管理についても考える必要があります。
特に夏場など気温が高い時期は、安置環境の管理が重要になります。
通常はドライアイスなどを使用して故人の状態を保全しますが、室温や日当たり、エアコンの使用状況などによっても環境は変わります。
「家族が一緒にいられるから」という理由だけで自宅安置を決めるのではなく、葬儀社から安置方法や室温管理について説明を受け、適切な環境を整えられるか確認することが必要です。
葬儀社の安置室を利用するメリット
自宅ではなく、葬儀社の安置室を利用する方法もあります。
安置室の大きなメリットは、故人を安置するための環境があらかじめ整えられていることです。
自宅で安置する場合には、部屋を片付けたり、搬送経路を確保したり、室温を管理したりする必要があります。
その点、葬儀社の安置室であれば、故人を安置することを前提とした設備が整えられているため、ご家族の負担を抑えられる場合があります。
また、病院や介護施設から搬送する場合も、そのまま葬儀社の安置施設へ移動できるため、住宅事情を気にせず安置できるというメリットがあります。
マンションやアパートでは安置室が現実的な場合も
特にマンションやアパートなどの集合住宅では、安置室の利用が現実的な選択肢になることがあります。
例えば、
「エレベーターにストレッチャーが入らない」
「廊下が狭く、搬送が難しい」
「階段しかなく、搬送経路に問題がある」
といった場合です。
また、集合住宅では、
「近所の方に亡くなったことを知られたくない」
「葬儀の準備をしていることを周囲に知られたくない」
など、プライバシーを気にされる方もいます。
このような場合には、葬儀社の安置室を利用することで、ご自宅での搬送や安置に伴う負担を避けられることがあります。
安置室なら家族はいつでも面会できる?
ここは、安置室を利用する前に必ず確認しておきたいポイントです。
「安置室なら安心だから」と考えても、施設によって面会のルールは異なります。
例えば、
面会できる時間が決められている
夜間は入室できない
面会には事前連絡が必要
家族が泊まることはできない
一定の条件を満たせば付き添いができる
など、対応は葬儀社や施設によって異なります。
そのため、故人のそばにできるだけ長くいたい場合には、
「面会は何時まで可能なのか」
「夜間も面会できるのか」
「家族が付き添うことはできるのか」
などを、搬送・安置を依頼する前に確認しておきましょう。
自宅安置と安置室、どちらを選ぶべき?
結論としては、どちらが正解というものではありません。
判断するときには、まずご家族の希望を考え、そのうえで現実的に安置できる環境があるかを確認することが重要です。
「自宅に帰してあげたい」という希望が強いなら自宅安置
故人が生前に暮らしていた自宅へ帰してあげたい。
家族みんなで故人のそばにいたい。
できるだけ長く一緒に過ごしたい。
このような希望がある場合には、自宅安置が適しています。
ただし、住宅の広さや搬送経路、室温管理などに問題がないかを確認してください。
「自宅に帰したい」という気持ちだけで判断するのではなく、実際に故人を安全に搬送し、安置できるかどうかまで考えることが大切です。
自宅での安置が難しいなら安置室
一方、
「自宅が狭い」
「マンションの搬送経路に問題がある」
「家族だけで環境を整えるのが難しい」
「自宅での室温管理に不安がある」
といった場合には、葬儀社の安置室を利用するほうが、ご家族にとって負担が少ない場合があります。
特に、突然のことで十分な準備ができていない場合は、無理に自宅へ搬送する必要はありません。
故人を適切な環境で安置し、ご家族が少し落ち着いてから、その後の葬儀について考えるという方法もあります。
深夜・早朝に搬送先を決める場合はどうする?
前の記事でも説明したように、ご家族が亡くなられたのが深夜や早朝の場合、最初から葬儀のすべてを決める必要はありません。
病院などから、
「霊安室から移動してください」
「○時までに搬送してください」
などと案内され、すぐに搬送先を決めなければならない場合があります。
このようなとき、
「自宅に安置するか、安置室にするか、まだ家族で相談できていない」
ということもあるでしょう。
その場合は、まず葬儀社へ相談してください。
自宅への搬送が可能なのか、安置室を利用したほうがよいのか、住宅環境などを踏まえて相談することができます。
迷った場合は、安置室を選ぶ方法もある
深夜・早朝で判断する時間が十分にない場合には、まず葬儀社の安置室へ搬送するという選択肢もあります。
自宅に搬送するには、搬送経路や安置する部屋の準備などを考えなければなりません。
一方、安置室であれば、まず故人を安置する場所を確保できます。
そして翌朝になってご家族が落ち着いてから、
「やはり自宅へ連れて帰りたい」
と希望するのであれば、その後の搬送について葬儀社へ相談することもできます。
ただし、安置室から自宅へ再搬送する場合には、別途搬送費用が発生することがあります。
また、葬儀社によって対応できる内容や料金は異なります。
そのため、**「後から自宅へ移動できるか」「その場合に費用はいくらか」**を、最初の段階で確認しておくと安心です。
「自宅安置ができない=家族が冷たい」ではありません
自宅安置を選ばなかったことで、
「家に連れて帰ってあげられなかった」
「最後まで家族のそばに置いてあげられなかった」
と罪悪感を持つ必要はありません。
現在の住宅事情では、故人を自宅へ搬送すること自体が難しいケースもあります。
マンションの構造、エレベーターの大きさ、部屋の広さ、家族の生活状況など、以前とは住環境そのものが変わっています。
また、葬儀までの間、安置室を利用することによって、ご家族が必要な休息を取ることができるという面もあります。
大切なのは、どこに安置したかだけで故人への思いが決まるわけではないということです。
自宅でも安置室でも、ご家族が故人と向き合い、最後の時間を過ごすことができれば、それぞれの形があります。
まとめ|「自宅か安置室か」ではなく、家族にとって無理のない方法を
自宅安置と葬儀社の安置室には、それぞれメリットがあります。
自宅安置は、住み慣れた家に故人を連れて帰り、ご家族が自由にそばで過ごせることが大きな特徴です。
一方、葬儀社の安置室は、搬送や安置のための環境が整っており、自宅の住宅事情を気にせず安置できるというメリットがあります。
どちらを選ぶべきか迷ったときは、
「故人を自宅に連れて帰りたいか」
だけではなく、
「実際に安全に搬送できるか」
「自宅で適切な安置環境を作れるか」
「家族が無理なく付き添えるか」
「安置室なら面会や付き添いがどこまでできるか」
といった点まで考えてみましょう。
特に深夜や早朝に突然判断しなければならない場合は、最初から完璧な答えを出す必要はありません。
まずは故人を適切な環境に安置することを優先し、その後、ご家族で相談していけばよいのです。
自宅安置が正解でも、安置室が正解でもありません。
故人への思いと、ご家族の生活環境の両方を考え、無理なく最後の時間を過ごせる場所を選ぶこと。
それが、自宅安置と安置室を考えるうえで最も大切な判断基準です。