最終更新日: 2023年12月16日 戒名とは、またその注意点は

戒名とは、またその注意点はもしも家族が亡くなったら、葬儀を行うという方が殆どでしょう。しかし普段生活をしている中で葬儀に触れる機会は多くはなく、そのため葬儀の知識について学ぶ機会もそう多くありません。
ところが人の死は思いもよらぬタイミングで訪れるものです。
全く知識がない状態で葬儀に臨むのと、事前に知識を持って葬儀に臨むのとでは心持ちが変わってきます。
悲しいことですが人間は生きていればいつかは亡くなります。いつか自分も直面するそのときのために葬儀、ここでは特に戒名についての基本的な知識をいくつか紹介していきます。

戒名とは受戒した人に与えられる名前

本来戒名とは、仏弟子として受戒した人に与えられた名前のことですが、近現代の檀家制度のもとでは一般の人は死後に授かることが普通になりました。
意味合いとしては戒名をいただくことで仏の世界に入ることが許されるという意味があり、現代ではお寺の僧侶に戒名をつけてもらうのが一般的となっています。
また基本的に家族が亡くなった際には、葬儀社とは別に菩提寺の寺院に連絡する必要があります。
家族が亡くなったということを寺院に連絡する際、同時に戒名についても話をします。こうすることで葬儀・法要の打ち合わせと併せて、寺院の僧侶は亡くなった人の戒名を考えてくれます。

戒名はもともと生前につけてもらうものだった?

現代では戒名は一般的に亡くなった人につける名前のことを指しますが、昔と現代では戒名の意味することが違います。
仏教はもともと中国から伝来してきた宗教ですが、本来戒名というものは現代とは逆で人が生きているあいだにつける名前を意味していました。つまり人が仏門に入るときにつけてもらう名前のことを戒名と呼んだのです。
戒名をいただき同時に現世の名前である俗名を捨てることによって、身も心も仏教に仕える仏弟子になるという意味合がありました。
また戒名は戒律と呼ばれる仏教における生活規律を守る証としてつけるという意味もありましたが、このようにもともとは生前につけるものであったのでこれを生前戒名と呼びました。

しかしながら、日本に仏教が伝わってしばらくすると人は死後に成仏するものであるという考え方が広まりました。
葬儀で僧侶は亡くなった人を仏の世界へと送り出す役割を果たします。これを引導を渡すと言いますが、亡くなった人が仏の世界に行くには俗名のままでは良くないということで、だんだんと亡くなった人に戒名をつけるという風習が生まれました。
この風習が現代でも残っており、今では亡くなった人につける名前のことを戒名(宗派により法名となります)と呼ぶようになりました。

戒名は菩提寺からいただくのが基本

戒名とは、またその注意点は戒名は寺院の僧侶からいただく名前のことです。
しかしどの寺院の僧侶からいただいても良いという訳ではありません。基本的には戒名は菩提寺からいただくもので、菩提寺とは簡単に言うと先祖代々のお墓があったり、位牌がまつられているお寺のことです。
死後家族などの親しい人が釈迦のような悟りを開けるようにといった意味を込めて造られたお寺が菩提寺の由来と言われていますが、葬儀や法事の際には葬儀社とは別に菩提寺に連絡をする必要があり、菩提寺の僧侶が法要を行うのが一般的です。

ところが近年自分の家の菩提寺が分からないといった方が増えています。
特に都市部に住んでいる人や若い人の間ではこういったことが多いようです。そのため急な葬儀の際に法要が依頼できないというケースも起きておりますので、いざというときのためにも家族や親族が生前のうちに確認をしておく必要があります。
親族であれば菩提寺が同じ寺院である場合が多いですが、事前に菩提寺を確認しておくことによって葬儀の際に無用なトラブルを避けることができます。

ランクがある?戒名の位とは?

仏教の基本的な教えは平等を説くというものです。本来戒名はどのような身分でも二文字であり、これには仏の世界では皆が平等であるということが表されています。
ところが実際の戒名にはランク付けがあります。そのランクの違いなどによってもともと二文字の戒名に様々な漢字が付け加えられていきます。
ここではその種類について一つずつ紹介していきます。

戒名は「院号」・「道号」・「戒名」・「位号」の4つからできており、この順に構成されていますが、現代ではこれら4つの組み合わせをひとまとめにして「戒名」と呼んでいます。
まずは「院号」です。
これは戒名に院の字がつくもののことを言います。
天皇が退位した後に住んでいた屋敷の名前のことを何々院と呼んでいたことから起こったもので、もともとは天皇や将軍家などの戒名として用いられました。現代では、生前に寺院や社会に大きく貢献した人、また相当の地位や身分の人に戒名の上位として与えられるものです。

次に「道号」です。
もともとは僧侶のことを尊敬の意を込めて修行をした場所や堂の名前で呼んでいたものが、だんだんと戒名の上につけられるようになったものです。
現代では戒名の上につけられる亡くなった人の別名のことで、その人の趣味や性格また特徴などを表す漢字が入ります。

そして位号ですがこれは仏教徒の階級を表すものです。
性別や年齢・地位などで決まり戒名の後につきます。

高い戒名料を支払えばよりランクの高い戒名が得られるのでしょうか

お寺の住職に戒名を頼む場合その対価としてお布施を包む必要がありますが、これが戒名料と呼ばれます。
先に説明した通り、戒名は生前の行為や業績・性別・年齢などに基づいてランクが変動しますが、一般的には戒名のランクが高いほど戒名料も高額になります。

しかし高い戒名料を支払ったからといって必ずしも高い位の戒名を得られるわけではありません。
戒名は寺院や社会に対する貢献度によって決定されるものであり、亡くなった本人や遺族が自由に位を選べるものではありません。戒名の位が高いほど戒名料も高額になりますが、逆に戒名料の高低がランクを決定するものではありません。
高い位の戒名を希望する場合は事前に菩提寺と相談しておくことが重要です。

生前戒名について

現代でも生前戒名をもらうことは可能です。
一般的には亡くなった後に戒名を授かるものですが、生きている間に生前戒名をもらうこともできます。この生前戒名にはいくつかのメリットがあり、寺院によっては亡くなってから戒名をもらうよりも生前戒名の方が料金が安い場合があります。
葬儀や戒名料は経済的な負担が大きいものですが、生前に手続きを進めることでコストを抑えることができるでしょう。ただし全ての寺院が安くなるわけではないため慎重な選択、事前の調査が必要です。
また、もう一つのメリットは菩提寺と協議しながら自分が納得できる戒名を得られる点です。亡くなった後に他の寺院で戒名をもらった場合、後になって菩提寺に納骨する際に戒名の変更や葬儀の再手配が必要になり、その結果費用がかさむ可能性があります。

戒名に関するトラブル:料金
菩提寺で戒名をいただく場合お布施を差し出します。この際に戒名料と呼ばれることもありますが、戒名は商品や労働による対価ではないため「料金」という表現は適切ではありません。ここでは「戒名料」という言葉を使用します。
戒名料は一般的に安いものではなくランクが高いほど金額が上がります。戒名料は基本的には亡くなった本人の気持ちに応じた金額であるべきとされています。
しかし実際には一定の相場がなく金額設定が難しい状況があります。宗派によって異なりますがおおよそ10万円から始まり、高額なものでは100万円以上することもあります。このため料金に関するトラブルが発生しやすくなっています。
戒名料についての知識がない場合知らないうちに高位の戒名が付けられ、後で指定された高額な戒名料を支払わされることや、逆に位に見合わない高額な戒名料を請求される可能性があります。
このようなトラブルを回避するためには戒名の基本的な知識を身につけることが重要です。また、適切でない高額な戒名料が請求された場合には、早急に葬儀社などに相談し第三者の介入を検討することで解決できる可能性があります。さらに菩提寺と事前に戒名についての相談と確認を行うことも大切です。寺院も生計を立てているため、中には不当な金額を請求するところもあるかもしれませんので注意しましょう。

戒名に関するトラブル:菩提寺以外での受戒
金銭に関するトラブル以外にも戒名に関するありがちなトラブルがあります。その中で二つ目は菩提寺以外の寺院で戒名をもらってしまう場合です。
例えば実家から離れて一人暮らしをしている家族が亡くなった場合、菩提寺ではなく亡くなった人の住まいの近くの寺院で葬儀の手続きを進めることがあります。また葬儀社に紹介された寺院や自ら探した寺院に葬儀を依頼し、後になって菩提寺の存在に気付くケースも考えられます。
葬儀社から紹介された寺院で戒名をもらいその後で菩提寺のお墓に埋葬しようとすると、戒名の変更や葬儀の再手配を要求されたり、納骨を拒否されたりする可能性があります。戒名を変更する際には戒名料が2倍かかることもありとても大きな負担になります。
遠方に菩提寺がある場合でも原則としては菩提寺に連絡をすることが重要です。遠方の場合は通常のお布施に加えて宿泊費や交通費を負担する必要があります。もし菩提寺が不明な場合に限り葬儀社を通して寺院を紹介してもらうようにしましょう。ただし後に菩提寺が判明した場合には、納骨を拒否されたり戒名の変更を求められたりする可能性があるため事前の確認が必要です。

戒名に関するトラブルを防ぐには?
戒名に関する様々なトラブルが発生しうるため事前に準備することが重要です。
戒名料については家族が亡くなる前に菩提寺に確認しておくようにしましょう。事前に菩提寺に相談や確認を行うことで、適切でない高額な戒名料を請求される可能性が低まります。
また生前戒名を依頼しておくこともトラブルを未然に防ぐ手段の一つです。生前に手続きを進めることで戒名料を節約できる可能性があり、自分の納得のいく戒名をつけることができます。
実家から離れた場所で亡くなった場合でもまずは菩提寺に連絡をするようにしましょう。
これを怠ると後になって戒名の変更や葬儀の再手配が必要になり、余計な費用がかかる可能性があります。たとえ遠方であっても原則としては菩提寺に連絡をとりましょう。遠方の場合には通常のお布施に加えて宿泊費や交通費が発生することもあるため注意が必要です。
もし菩提寺が不明な場合には、葬儀社を通して寺院を紹介してもらうようにしましょう。
ただし、後に菩提寺が判明した場合には、納骨を拒否されたり戒名の変更を求められたりする可能性があるため事前に確認が必要です。

家族の不幸に備えて戒名に関する基礎知識を身につけることは、無用なトラブルを避けるためにも重要です。葬儀やお別れの準備において、戒名に関する基本的な知識は頭に入れておきましょう。