最終更新日: 2023年12月13日 神道の諡とは

神道の諡とは神道は伝統的な民俗信仰、自然信仰、祖霊信仰を基盤とする日本古来からある宗教で、各地で伝承される葬送儀礼はこれらの習俗に仏教の影響も受けています。
具体的には、明治時代になって「神葬祭」として整備されました。神道の葬儀において、戒名に似たものが存在します。これが「諡(おくりな)」で、仏教の戒名とは異なる意味合いや付け方があります。

諡(おくりな)の意味

神道において、諡は故人の死後につけられる名前を指します。この名前には、生前の徳や行いを称える意味が込められています。神道では、人は神の子と見なされ、生まれてから役割を果たし、死後には諡を付けて神々のいる世界に戻ると考えられています。諡は故人が子孫を見守る守護神としての役割も果たします。

一方で、仏教の戒名は死後に仏の弟子としての名前を得るものであり、この考え方は神道とは異なります。

諡の付け方

諡は生前の名前の後に加えられ、年齢や性別によって異なるものがあります。一例として、特定の年齢ごとに以下のような諡が付けられます。

3歳まで:[男性] 嬰児(みどりご)、[女性] 嬰児(みどりご)
6歳まで:[男性] 稚児(ちご、わかいらつこ)、[女性] 稚児(ちご、わかいらつめ)
15歳まで:[男性] 童男(わらべ)、[女性] 童女(わらめ)
19歳まで:[男性] 彦、郎子彦(ひこ)、[女性] 姫(ひめ)
40歳まで:[男性] 郎男(いらつお)、[女性] 郎女(いらつめ)
70歳まで:[男性] 大人(うし)、[女性] 刀自(とじ)
70歳超:[男性] 翁(おきな)、[女性] 媼(おうな)
これに「命(みこと)」を加えて諡が完成します。例えば、72歳の男性なら「○○翁命(○○おきなのみこと)」といった具体的な付け方があります。ただし、これは年齢ごとに必ずしも厳格に守るべきものではなく、最近では簡略化される傾向も見られます。

諡を依頼する相手と費用

諡は特定の誰かに頼む必要がなく、また戒名のように布施(値段)も必要ありません。
神道のお墓である奥津城に名前を刻む際や、霊璽に諡を加える際には必ずしも省略されることはありません。これらの場で、諡は故人の尊厳を守り、先祖の霊を敬う大切な要素となります。

まとめとして、神道と仏教の葬儀には死生観の違いが見られますが、先祖への敬意や願いは共通しています。
神道の諡や仏教の戒名が、故人とその家族にとって大切な儀式であることは変わりありません。