最終更新日: 2023年12月13日 墓石費用・相場を知る
お墓の価格は墓所の永代使用料と、そこに墓石などから造られるお墓そのものの合計価格で決まります。
永代使用料=墓所費用で他に年間管理費がかかりますがこれが霊園や管理する寺院に払うものです、ここでは石材店に払う墓石の価格・相場について紹介します。
お墓の価格は先ず石碑の種類と大きさ、それにデザインとデザインに沿った加工手間・作業などから決まります。近年では予め石種・デザイン・彫刻のデザイン手間の範囲や文字数を定め価格表記をしている石材店もありますが、多くは昔ながらのオーダーメイドとなることから墓石価格を明確に表記せずに最低価格のみ表記されていることが多くなっています。
こうしたことからお墓の価格や相場が不明で、建ててみたら「思っていたより高くなってしまった」という方が多いのではないでしょうか。
実際にお墓を建て、購入する際は墓石選びやデザインなどが重要になってきます。建墓で後悔しないためには相場・適正な価格を理解しておくことが必要です。
お墓の価格が解りにくいわけ
チラシやHPなどに書かれているお墓の価格は表記が分かりにくいと感じたことはありませんか?お墓には明確に表記しにくい理由がありその理由は以下のようなものです。
墓石の価格が明記されない理由
近年ではネットショッピングの様に墓石を購入できるサービスなどもありますが、実際の建墓にかかる費用は墓石価格だけではありません。
オーダーメイドであることから個々のお墓でさまざまな費用が加算されることが殆どです。そのようなことからお客さまが混乱したり後にトラブルとならないように、あえて価格の明記をしていないということがあります。
墓石価格に幅がある理由
- お墓の墓所の大きさ
- 墓所の広さで使う石材の量が変わります、多ければ高くなりますし少なければ安くなります。また石材は輸入のものが多いのですが、輸出元の都合などでも墓石の価格が上がったりすることがあります。
- 和型か洋型(デザイン墓)か
- 主に竿石の形状などにより石材の量が異なるため。
- 使用する石の種類や材質
- 石には等級やそれに応じた価格帯があります。例えば同じお墓を建てたとしても選ぶ石材により価格も異なったものとなります。
- デザインや細工を施す
- 和型でも洋型でもデザインや彫刻などの作業が多くなると、それに応じ費用が加算されるのでに似たような外観でも細部のデザインや彫刻が細密だったり多くなれば費用が高くなります。
いずれにしてもどの項目もオーダーメイドで定価をつけられないので、どうしても見積上価格に幅がでてきてしまうのです。
墓石価格相場
一般的なお墓を建立するのにはどのくらいの費用がかかるのでしょうか、価格相場とその費用内訳について。
- お墓の平均購入価格
- 2021年のお墓の消費者全国実態調査によると、一般墓の平均購入価格は169.0万円となります。
但しこの平均購入価格とは以下で説明する「墓石費用」と「永代使用料」の合算額になりますのであくまでもお墓購入の目安としてください。
※地域によっても価格相場は異なります。詳しく知りたい方は建立する地域の石材店に相談し相見積もりを取ることをおすすめします。 - 費用内訳について
- 墓石費用
お墓本体・外柵・納骨棺(カロート)・施工費などの費用です。石種や加工手間・施工手間(工事代)によって大きく変わります。
永代使用料
これは墓所費用、墓地・霊園の土地を借りる費用で、永代使用料とはあくまで墓所としての土地を使用する権利を購入しているのであり、その土地を購入しているのではありません。
管理料
霊園・寺院など管理者に墓所を管理してもらうために定期的に支払うものが管理料(管理費)です。管理者は管理費により、墓所の水道代や電気代の支払いや清掃・共有施設(休憩所・トイレ・水汲み場等)の維持管理を行っています。
お墓は建てたらもう費用はからないということはありません。
管理費は毎年納める場合が多いようですが、管理者(霊園・寺院)により数年分をまとめて納める場合もあります。管理費の相場は墓所面積に応じるのが一般的で数千円~1万円前後ですが、寺院墓地はお布施が必要なところもありますので予め確認しておきましょう。
価格を決める要素
お墓の価格は質・量・手間/技術により大きく変わります価格を左右する要素について説明をします。
- 石の種類と産地
- 原石は種類によって大きく価格が異なります。また多くのの石に等級があり、等級毎価格も変化します。
お墓は将来的に何代にも渡り子孫へと受け継がれていくものです。ですから石としての強度・耐久性がたかいもの=硬度が高く吸水性の低いものほど価値が高まります。耐久性が高く磨くと光沢が出る原石として知られているのは、花崗岩・安山岩・閃緑岩・班れい岩などです原石は国産のもので約50種類ほどある他、中国やインドなどからの外国産のものが100種類ほどあります。
お墓もそうですが建築物で石を使う際に御影石という名を耳にすることがあると思いますが、御影石というのは日本固有で使われている名称でいわゆる花崗岩の総称となります。地下深くで時間をかけて冷やされてできる「深成岩」と呼ばれる種類に含まれます。
もともとは六甲山嶺の神戸市御影付近が産地として有名だったのでそのように呼ばれるようになりましたが、御影石は耐久性が高く経年劣化に強いので墓石として最も人気があり、国内産地としては他に茨城県(稲田御影・真壁小目御影)・福島県(浮金石)・山梨県(甲州御影)・愛知県(三州御影)・愛媛県(大島石)・香川県(庵治石)・山口県(徳山御影)・佐賀県(天山御影)などが有名です。
また、安山岩として名を知られているのは、高級であるといわれている神奈川県産(本小松石)でしょう。ただし国産の石材は海外産の石材と比較すると同じ石種でも高価となる傾向があります。
そのようなことから現在では多くの石材を国外から輸入をしています。その中でも中国からの石材輸入が多くを占めていますが、中国で墓石などの製品化が本格化したのは1990年代で、福建省で日本の業者との合弁工場が作られたのがきっかけとなります。
他に黒系の花崗岩「クンナム」・グリーン系グレーの御影石「アーバングレー」・赤系の「インペリアルレッド」が採掘されるインド、黒御影石「ファイングレイン」を産出するスウェーデン、黒御影石「インパラブルー」を産出する南アフリカも石材の輸入元としてはメジャーになっています。 - 基礎工事費
- お墓も住宅と同様に基礎工事を行いその上に石塔などを建てるのが一般的ですが、基礎工事の工事費用も墓石代に含まれていることが多いようです(故に価格が解り辛くなるのですが)。お墓には建築基準法のようなものはありませんし、基礎は見えない部分ですが永く継がれてゆくことからしっかりと造られている必要があり、地盤の強度や墓石の大きさに合わせて行う必要がります。近年は住宅では一般的になった「ベタ基礎」と言われる工法がお墓でも一般的になりつつあります。従来の「布基礎」と言われる工法と比べれば強度が高いのですが、費用も割高になるので石材店に相談しておきましょう。
基礎についてはその強度が重要ですが、地盤が悪ければ元も子もありません。やはり住宅と同様ですが、以前湖沼・海・湿地だった場所は地震があれば液状化の心配がありますし、地震が無くても傾いたり沈みこんだりということがあります。これは墓所選びの一環になりますが、以前の地質にかかわらず造成時に耐震施工を施した霊園・墓地に建てることが先々の安全・安心に繋がります。 - 石の使用量
- 墓所の広さはもちろんですが、お墓の大きさにより使用する石材の量が変わってきます。石材の量が変われば、それは価格に表れます。
- 原石からの加工費用
- 加工が国内か国外かによって価格は異なります、原石の価格同様国内加工の方が費用がかかることが多いようですが、現在では国外の場合概ね9割以上を中国を占めています。
- 墓石のデザインや彫刻
- デザイン性の高いお墓、家名・家紋などの彫刻を竿石などに施した場合、石の磨き直し、デザイン・文字の彫刻などもお墓の価格を上げる要因となります。
ここでの文字彫刻は、購入した墓石に家名・題字・題目・建立者名・建立日などを彫るためにかかる費用のことで、これら基本的な彫刻費用は基礎工事と同様墓石の値段に含まれていることが多いです。
追加で依頼する彫刻費用はそのデザイン/内容・大きさ・文字数などにより大きく異なりますが、戒名や生前の名前などのほか特別なデザインを施す場合を指します。納骨の際など追加で戒名などを彫刻する字彫りにかかる費用は、石材店により異なりますが3万円から5万円程度が相場のようです。
ただし棹石に彫る場合と墓碑に彫る場合など彫る部位や依頼内容により変わります、例えば墓石の正面に模様などを掘る場合は10万円程度からが目安となりますので事前に石材店に確認するようにしましょう。 - 石塔や外柵まわりの飾り
- 石塔や外柵周りにも飾りを施すことができます。
水鉢や花立てに合祀墓などで故人の名前を刻む墓誌(ぼし)や香炉なども供養の際に用いる飾りの一つですが、これら飾りの彫刻もデザイン性や面積・使用する技術により価格が変動します。 - 耐震免震工事など
- 昔のお墓は石を積み上げただけなので地震により倒壊したりずれたりしていました。平成頃のものでもコーキングによる接合程度のものは少なくないようです。
少し大きめの地震でもその後に修理依頼が発生することがありますが、未来の家族へと受け継がれるお墓ですから耐震・免振施工を施すことをお奨めいたします。
もちろん耐震・免振施工の内容によってもお墓の価格は異なりますが、耐震・免振施工を施すことで地震や災害による倒壊を防げることは将来的な費用を抑える結果に繋がります。 - 現場の状況
- これは施工にあたっての費用で、駐車場から墓所までの距離やクレーン車が通れる車幅の有無などにより墓所まで石材を運ぶ搬入手間が変わること=人手が多く要るかどうかで変わってきます。墓所までの経路が整備されていない場合は搬入方法を別途手配しなければならないこともありますが、そうした場合は搬入費に加算されることになります。
お墓の構造と部位名称
お墓を本当に検討していると聞き慣れない専門用語に悩まされると思います。
ここではお墓の構造と各部位の名称について説明します。
※お墓の構造に決まりはありませんのでごく一般的な和形を基準に紹介します。
石塔
- お墓の家名が刻まれている墓石を「石塔」と呼びます。石塔は「棹台」「上台」「中台」「下台」の4つの石から構成されています。
- 棹石
- 棹石(さおいし)はお墓の一番上の部分の石で、一般的には家名が彫刻されている部分です。
- 上台
- 上台(じょうだい)は和型墓石の竿石や蓮華台の下にある石です、台石とも呼ばれていてこの部分に家紋などを彫刻することもあります。
- 中台
- 中台(ちゅうだい・なかだい)は棹石と呼ばれるお墓の一番上の石(家名などが彫刻される部分)の下あたりの石です。骨壺を納める納骨室/カロートの上にある場合が多い石です。
洋型墓やデザイン墓の場合はこの中台があることで棹石正面に彫刻されている文字が花立や水鉢などに隠れて見えなくなることをなくす役割となっています。 - 下台・芝台
- 下台・芝台はどちらもお墓の一番下の土台となる石を指します。
- 墓納骨室(カロート)
- 下台・芝台の地下に遺骨を埋蔵する納骨室を作ったもの、地上部分に納骨室を作った(陸・丘カロート)ものとがあります。石やコンクリートで作られていますが、納骨室/カロートの形状は地域によって異なることがあります。
- 墓誌
- 墓誌はお墓の横に建てる石碑で宗旨や宗派、その地域の習わしなどで「墓標」「霊標」「戒名板」「法名碑」等色々な呼び方があります。
墓誌にはそのお墓に納骨されている故人のお名前や戒名・没年月日などが彫刻されています。墓所スペースによっては墓誌を建てることが難しい場合があります。また宗旨・宗派によって墓誌を設置するかどうかも異なり、建てる墓誌が増えればその分費用は高くなります。ただ墓誌を建てることが(宗旨・宗派的に)必須でなければ、費用をかけないために墓誌を建てないという選択もあります。一般的な石材の場合の相場は石種などによりますが5~50万円です。
- 外柵
- 外柵はお墓の周りを囲う柵のことで、隣の墓地との隣地境界線としての役割もあります。
- 水鉢
- 水鉢は先祖に水を供えるための鉢のことでお墓の手前部分に作られることが多いです。
- 香炉
- お墓参りや法要などの際お線香を備えるもので、お線香を立ててお供えする「立ち置き型」と線香を寝かせてお供えする「くりぬき型」とがあります。
- 卒塔婆立て
- 卒塔婆を立てておくためのもので石製・金属製のものなど色々な種類がありますが、宗派によっては使用しない場合もあります。
- 花立
- 墓石下にお墓参りなど供養する時に仏花を左右一対で花を立てられるよう備え付けられているものです。
- 蓮華台
- 蓮華とは蓮の花のことですが、蓮華台は通常棹石の根本に設置されることが多いものです。
- 灯篭
- 灯篭はいわゆる石灯篭で、広い墓所のお墓にみられることがありますが一般的な広さの墓所にはみられません。
墓石以外にかかる費用など
ここまではお墓そのものの価格について説明をしてきました。しかしながらお墓を建てるにはそれ他にも費用が発生しますのでここでは見落としがちなその他費用について説明します。
- 納骨法要
納骨する際には納骨法要(納骨式)を開く必要があります。
- 開眼法要などと同時に行う場合も多いようですが、回忌法要に僧侶に出席してもらう場合は3~5万円程度が相場となるお布施が必要になります。また地域にもよりますが別途僧侶へのお車代として5千円~1万円程度、僧侶が会食辞退の場合は御膳料として1万円程度を包み渡すのが相場となっています。
- 埋葬手数料(納骨作業費)
- ご遺骨を納骨する際お墓下部にある納骨室/カロートを開けます。ご自身での作業ができることもありますが開け閉めにはコーキングの処理など工事の技術が必要で、墓石を傷つける可能性もあることから石材店に作業を依頼することをお奨めします。埋葬工賃は概ね2~3万円程度が相場のようです。
- 開眼供養
- 新しいお墓に納骨するときは「開眼供養」と呼ばれる法要を行いますが、近年では個別に何回も供養を行わずに四十九日法要や納骨法要と同時に行うことが一般的になってきています。
他の法要と同時に行う場合でも僧侶へのお布施はそれぞれ別にお渡ししますが、相場はそれぞれ3~5万円となります。僧侶に遠方から来ていただいた場合はお車代として5千円~1万円程度、会食に参加されない場合は御膳料としてそれぞれ5千~1万円ずつ、また出席者への会食代や引き出物代が一人1万円程度必要となります。
- お布施・入檀料・志納金
- 入りたいお寺が信仰している宗派・宗教(日蓮宗・浄土宗等々)の下で檀家となることを入檀といいます。入檀するとそのお寺が菩提寺となり法要やお葬式で読経などをお願いすることになります。入檀するためには入檀料をお寺へ支払う必要がありますが、地域・宗派によって異なりますが、相場はおおよそ10万円~ら30万円前後が一般的のようです。
ただしお寺ではお布施という扱いで入檀料を受け取るため、具体的な金額については一律いくらといったような明確な回答をしてくれるところは少ないようです。また入檀料以外にも毎年運営費などを支払うことがあります。 - 戒名
- 仏教では亡くなった後に菩提寺に戒名をつけてもらいます。戒名をいただくには戒名料を菩提寺に支払わなくてはいけませんが、戒名料のお布施相場は30万円~100万円と大きな幅があります。このお布施の金額の幅が大きいのはどの寺院でも同様で、寺院や戒名のランクによって価格が異なるためです。
またお寺によって金額設定が様々で戒名料を尋ねても「お気持ちで」と返されたりする場合があることも金額の目安が解りにくい理由の一つと言えるでしょう。
価格判断の注意事項
さまざまな要素が集約されてお墓の価格は決まってくるので、単純な表示価格のみに注目してお墓を購入するのは注意しなければなりません。
- 指定石材店制
- 墓地や霊園によっては石材店が指定されていることが少なくありません。
気に入った霊園だとしても自分で安い墓石を探すことができない場合、お墓の値段が高くなることがあります。一般的に民営の墓地は石材店が指定されていることがほとんどでし、寺院の場合はどちらの可能性もあるので予めお寺に確認しましょう。
逆に公営の墓地は石材店が指定されていませんので、安い墓石を探す場合はよく話を聞きまた相見積もりを取るなどして信頼できる業者を選びましょう。 - 年間管理費など
- お墓を建てても維持・管理などの費用が毎年発生します。公営霊園や民営霊園は維持管理のために年間管理費を設定しているところがほとんどです。また寺院墓地は維持管理ではなくお布施が必要なこともありますので、これも予め確認しておきましょう。